満洲日記

今年88歳になる従姉妹の満洲で生まれ引き揚げて来るまでの記録です。

ストーブの火付紙

終戦後日ソ不可侵条約を破って南下して来たソ連軍はhiroの家を徴用しソ連参謀の宿舎として半年起居を共にする事になった。

そろそろそれも終わりに近づいて来た。

ある寒い日当番兵が父の蔵書から

一冊を抜き取り引き裂いてストーブの火付け紙に使おうとした。

母が見るとそれは祖父が苦労してドイツで研究した論文だった。

母は身の危険も顧みず

「それは私の父が書いた本です

燃やしてはなりません‼️」

日本語はわからない当番兵はその気丈さに押されおずおずと

母にその本を差し出した。

引き揚げの時も無事持って帰れ

今も製本され蔵書として残っている。