満洲日記

今年88歳になる従姉妹の満洲で生まれ引き揚げて来るまでの記録です。

五・一五 事件

満州国建国と同じ頃

1932年5月15日

海軍青年将校達が内閣総理大臣官邸に乱入し

内閣総理大臣犬養毅を殺害いした。

首相の側でいつも働いていた家政婦のおばさん あささんの肉声のテープを聞いた。

カモシカみたいに軍靴のまま上がり込んできた。「総理はどこだ!総理はどこだ!」あささんは銃を突きつけられ初めてただ事でない事がわかった。首相は「何じゃ何じゃ?」と出て来てしまった。

首相は落ち着いて「あさ お茶持っておいで」といわれ2杯入れたところで「ダンダンダン!」と銃声がきこえた。

一番最後の人が逃げていくのを見た。

首相のそばに行くと倒れて

「今の若者を呼んでくれ。

話せばわかる。話せばわかる。」

と2度言った。

若者達は逃げた後あささんが聞いた最後の言葉だった。

これを境に日本は国際社会から孤立して戦争へと進んでいく。